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食品機械の樹脂部品素材とは?選定基準と特性を徹底解説

食品機械における樹脂部品の役割と基礎知識
食品機械の分野では、金属部品を樹脂に置き換える動きが進んでいます。軽量で加工自由度が高く、耐薬品性や非粘着性など金属にはない機能を持たせられる点が評価され、搬送部品や摺動部品を中心に採用が広がっています。適材適所の使い分けが品質と生産効率の両立につながります。
なぜ食品機械に樹脂部品が使われるのか
樹脂部品は軽量で複雑形状の成形がしやすく、金属部品に比べて摩耗音や衝撃を抑えられる点が食品機械で重宝されます。また耐薬品性や非粘着性を持つ素材を選べば、洗浄工程の負担軽減や食品の付着防止にもつながり、稼働効率と衛生性の両面でメリットがあります。
金属部品との違いと使い分けのポイント
金属部品は高強度・高剛性が必要な構造部材に適する一方、樹脂部品は軽量性や耐薬品性、非粘着性が求められる搬送・摺動部品に向いています。荷重条件や洗浄頻度、異物混入対策の要否などを踏まえ、部位ごとに最適な素材を使い分けることが重要です。
食品機械の樹脂部品に求められる特性
食品機械に使用する樹脂部品には、一般産業用途以上に厳しい特性が求められます。衛生面での適合性はもちろん、洗浄剤への耐性や搬送部での耐摩耗性、加熱殺菌工程への耐熱性、食品の付着を防ぐ非粘着性など、複数の要件を同時に満たす必要があります。
食品安全性(衛生面での適合性)
食品と直接・間接的に接触する部品には、食品衛生法に基づく規格への適合が求められます。2020年6月1日に施行されたポジティブリスト制度により、食品用器具・容器包装は安全性を評価した物質のみを使用可能となりました。対象素材の選定時にはこの制度への適合確認が欠かせません。
耐薬品性(洗浄剤・薬品への耐性)
食品工場では衛生管理のため、アルカリ性・酸性洗浄剤や次亜塩素酸系薬剤による洗浄が頻繁に行われます。樹脂部品にはこれらの薬品に長期間さらされても劣化やひび割れが生じにくい耐薬品性が求められ、洗浄頻度の高い部位ほど素材選定の重要度が高まります。
摺動性・耐摩耗性(搬送・可動部での耐久性)
コンベアやガイドレールなど連続稼働する搬送部品には、摩擦係数が低く摩耗しにくい摺動性・耐摩耗性が不可欠です。これらの特性に優れた樹脂を採用することで、部品交換の頻度を抑え、ライン停止によるロスを減らすことができます。
耐熱性(加熱・殺菌工程への対応)
食品機械では加熱調理や熱水殺菌など高温環境での使用が想定されるため、樹脂部品には十分な耐熱性が求められます。耐熱温度を超えると変形や強度低下を招くおそれがあるため、使用温度帯に応じた耐熱グレードの選定が品質維持の鍵となります。
非粘着性(食品の付着防止)
生地や粘着性の高い食品を扱う工程では、部品表面への食品の付着が衛生面・作業効率の両面で課題となります。非粘着性に優れた樹脂を採用することで、清掃の手間を減らし、付着物混入によるコンタミネーションリスクの低減にもつながります。
食品機械向け樹脂部品の主な素材と特性
食品機械の樹脂部品には用途に応じて多様な素材が使われます。摺動性に優れるPOM、耐熱・耐薬品性に優れるPPS、非粘着性に優れるフッ素樹脂など、それぞれの特性を理解した上で適材を選定することが、安定した稼働と衛生性の確保につながります。
POM(ポリアセタール)の特徴と用途
POMは摺動性・耐摩耗性・寸法安定性に優れたエンジニアリングプラスチックで、ギアやベアリング、搬送用ガイドなど可動部品に広く使われます。吸水率が低く、精密部品としての加工性にも優れるため、食品機械の搬送系部品で定番の素材です。
PPS(ポリフェニレンサルファイド)の特徴と用途
PPSは耐熱性・耐薬品性に優れたスーパーエンジニアリングプラスチックで、高温洗浄や薬品洗浄が頻繁に行われる部位に適しています。寸法安定性も高いため、精密な公差が求められる食品機械部品や、熱水殺菌工程周りの部材にも採用されます。
フッ素樹脂(PTFE・PFAなど)の特徴と用途
PTFEやPFAといったフッ素樹脂は、非粘着性・耐薬品性・耐熱性のすべてに優れる点が特長です。食品が付着しやすい搬送部やシール部材に採用されることが多く、清掃性の向上やコンタミネーション対策として食品業界で高く評価されています。
UHMW-PE(超高分子量ポリエチレン)の特徴と用途
UHMW-PEは耐摩耗性・自己潤滑性に優れ、金属に近い耐衝撃性を持つ樹脂です。摩擦の多いガイドレールやスターホイールなどの部品に採用されることが多く、耐摩耗性が求められる搬送ラインの部材として長寿命化に貢献します。
MCナイロンの特徴と用途
MCナイロンは高い機械的強度と耐摩耗性を兼ね備えた素材で、大型部品や高荷重がかかる箇所への加工にも対応しやすい点が特長です。金属からの置き換えによる軽量化やコスト削減を目的として、ギアやローラーなどに採用されています。
食品衛生法・ポジティブリスト制度への対応
食品機械の樹脂部品を選定する上で欠かせないのが、食品衛生法に基づく規制への対応です。改正食品衛生法では、規格が定まっていない原材料を使用した器具・容器包装の販売等を禁止し、安全が担保されたものだけを使用できることとするポジティブリスト制度が導入されました。制度の仕組みと過去の事例を理解した上で素材選定を行うことが重要です。
食品衛生法改正の概要とポジティブリスト制度とは
2018年6月13日に公布された改正食品衛生法により、食品用器具・容器包装について安全性を評価した物質のみを使用可能とするポジティブリスト制度が導入され、2020年6月1日に施行されました。対象となる合成樹脂は基ポリマー・添加剤あわせて数千物質がリスト化されています。原則使用禁止の枠組みへの転換であるため、既存部品の見直しが必要になるケースもあります。
溶出試験の基本と評価方法
ポジティブリスト制度への適合確認では、材質試験に加えて溶出試験が重要な役割を果たします。想定される使用温度・接触食品の区分に応じて溶出条件を設定し、規格値以下であることを確認する必要があり、加工会社選定時にはこうした試験対応力も判断材料になります。
過去の非適合事例に学ぶリスク回避のポイント
過去には食品用ラップフィルムからの可塑剤移行や、輸入食品での異臭発生といった非適合事例が報告されています。こうした事例は、素材選定や配合設計の段階でのチェック不足が原因となることが多く、事前の規格適合確認がリスク回避の第一歩となります。
素材選定を左右する判断軸
食品機械向けの樹脂部品選定では、単一の特性だけでなく、使用環境やコスト、異物混入対策まで含めた総合的な判断が求められます。複数の判断軸をバランスよく考慮することで、長期的に安定した稼働と衛生管理を両立できます。
使用環境(温度・薬品・摩耗条件)に応じた選び方
使用温度帯、接触する薬品の種類、摩耗の程度など、部位ごとの使用環境は大きく異なります。これらの条件を無視して素材を選定すると、早期劣化や交換頻度の増加を招くため、現場の実使用条件に基づいた素材選定が欠かせません。
コストだけでなくTCOで比較する視点
樹脂は素材単価だけでなく、交換頻度やメンテナンスコスト、ライン停止による損失まで含めたTCO(トータルコスト・オブ・オーナーシップ)で評価することが重要です。初期費用が高い高機能樹脂でも、長期的に見ればコストメリットが大きい場合があります。
異物混入対策(金属探知機対応など)も考慮する
食品機械では金属探知機による異物検査を行う工程が多く、金属部品では検知精度に影響を与える場合があります。樹脂部品への置き換えは、こうした検査工程との相性の観点からも有効な選択肢となり、異物混入リスクの低減にも寄与します。
まとめ|食品機械の樹脂部品は素材選定が品質を左右する
食品機械の樹脂部品には、食品安全性・耐薬品性・耐熱性・非粘着性など多面的な特性が求められ、POM・PPS・フッ素樹脂・UHMW-PE・MCナイロンなど素材ごとの特性理解が欠かせません。あわせて、ポジティブリスト制度への適合確認や、TCO・異物混入対策を踏まえた総合的な判断が、安定した品質と衛生管理の両立につながります。
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